デビルメイクライ5のストーリーがクソな件

先日発売した大人気ゲームの最新作、『Devil May Cry 5』(以降DMC5)について思う所がある。

過激なタイトルにしたが、これは筆者がDMCシリーズを愛しているからこそだと理解してほしい。

最初に言いたいことは、DMC5は間違いなく面白い。洗練されたゲーム性と骨太なアクションは他では味わえない魅力がある。購入を迷ってる方は是非、プレイしてほしい。

間違いなく、愛すべきゲームである。だからこそ思うところを、この記事で吐き出させて頂きたい。
(ストーリーのネタバレを大量に含むので、クリア後に読む事を推奨します。)

筆者とDMCシリーズの出会いは中学生の時。
当時の家庭用ゲーム事情はPS時代からPS2時代に移り変わり、特にグラフィックの進化は著しかった。

今では映像は綺麗で当たり前だが、当時は新作ゲーム情報が出る度に『美麗なグラフィック』を売り文句にしていたと記憶している。

そんな中で発売した初代『DMC』のインパクトは凄かった。グラフィックが美しいのはもちろん、動きも非常に滑らか。
当時の3Dアクションにおいてネックだったカメラワークは、シチュエーション毎に切り替わる半固定式を採用。美しい映像、格好いいキャラクター、流麗なアクションを映画的な演出で魅せ、まるでダークファンタジーの世界に入り込んだかのようだった。

DMCのゲーム内容は極端な話『剣と銃で暴れる』だけ。
おまけ程度の謎解きはあるものの、それだけのゲームをあそこまで楽しいものに仕上げた当時のクリエイター達にはただただ脱帽である。
売上は当然のように世界中で大ヒット。CAPCOMの看板作品となり、以後15年以上続くシリーズとなる。

今回の話題の作品、DMC5はナンバリングとしては約11年ぶりの発売となる。(DmC通称名倉についてはこの記事では省くことにする。ややこしいので。)

DMC4はストーリーにおいて、大きな謎を残している。
それはダンテに続く2人目の主人公、『ネロ』の出生の謎。

ネロは右腕に悪魔の力を宿し、『閻魔刀』と共鳴することで半魔人化する能力を持つ。
閻魔刀はDMC3におけるラスボスでありダンテの双子の兄弟、人気キャラクター『バージル』の武器である。
ネロという名前は『初代DMC』においてバージルの変わり果てた姿『ネロ・アンジェロ』から来ているのは間違いない。

ネロがバージルの血縁者だとして、『DMC3』で1人魔界に残されたバージルがどんな経緯でネロと閻魔刀を人間界に残したのか。
これがDMC5での焦点になると、筆者は勝手に思っていた。

(筆者はゲームはすべてプレイしているが、アニメや小説などの派生作品はノータッチです。この辺りの事が言及されていたら申し訳ない。)

事前情報ではローマ数字のVがフォーカスされ、新キャラクターの『V』が公開された。
他のゲームのナンバリング作品においても『5』は『V』と表記され、何かの頭文字として意味を持たせる場合がある。(メタルギアソリッドアーマードコア等)

DMCシリーズで『V』と言えばもちろん『Vergil』である。
新キャラ『V』の操る使い魔は、初代DMCにてバージル(ネロ・アンジェロ)と共にプレイヤーを苦しめたボスキャラクター達。

おまけに発売直前のPVではバージルの後ろ姿も公開された。
これはもう遂にバージルとネロの関係性が、出生の秘密も込みで明らかになるに違いない、と。
筆者は更に『勝手に』そう思っていた。

ここからDMC5のストーリーについて語るので、ネタバレが大量に含みます。
もしまだ購入を検討している方がいたら、読むのを控えるのをおすすめします。
是非、自信で購入して評価して欲しい。





~DMC5ストーリー~


ネロを襲い、『返してもらうぞ』という台詞と共に右腕と閻魔刀を奪い去った謎の悪魔。
地方都市レッドグレイブ市を襲い、大量の人間の血を吸う魔界樹クリフォトを裏で指揮する『魔王ユリゼン』。
それの討伐を依頼に来た謎の男『V』。

その正体は、全てバージルだった!
魔界に残されたけど、どうにかしてダンテと戦いたいバージル
でももうボロボロで戦えない…そうだ!なぜか人間界で知らんヤツが持ってる閻魔刀を取り戻しに行こう!
そして閻魔刀の力で人間と悪魔に分裂して、クリフォトで民間人の血を吸って悪魔の力を取り戻そう!
そしてもう一回融合すれば万全の状態でダンテと戦えるぞ!

やられるダンテ『ぐわー』

殺される民間人『ギャー助けてー』

ネロ『助けなきゃ!』

V(バージル)『無駄だ。もう助からん』

ネロ『クソッ!』(スゴスゴと退散)

なんやかんやあってユリゼン(バージル)を倒したダンテ達

ユリゼン(バージル)『何も失ってないお前になぜそんな力が…』

ダンテ『失いたくないから強いのさ』

V(バージル)『俺がトドメ刺すわ…』

ユリゼン(バージル)『貴様は…』

V(バージル)『俺もダンテを倒したい』

ピカー(融合)

復活したバージル『今のお前を倒してもしょうがないから休憩してからおいで^^』

ダンテ『1人でいく』

ネロ『俺も行く』

ダンテ『親父を殺すな』

ネロ『お…親父?』

ダンテ『ネロはお前の子供やぞ』

バージル『ネロは俺の子!?』

ネロ『親父は俺が止める!誰も死なせやしねえ!(民間人は除く)』

バージル『負けたわ』

ダンテ『息子の腕もいどいて負けるとかダッサw』

ネロ『魔界化を止めないと!』

ダンテとバージル『二人で魔界行くわ』

ダンテ『風邪引くなよ』

バージル『次は負けんぞ』

ダンテとバージルは魔界で幸せに暮らしました。


おわり








あのさぁ…

今作のバージル、あまりにも不快過ぎる。

まず、バージルはDMC3で開きかけた魔界の門を閉じるために魔界に1人残ったんですよ。ダンテの手を振り切って。

なんで3と同じく魔界の門を開けてるの?今度は自分の意思で。

あの時の覚悟はなんだったの?
あのときのダンテとレディの名台詞
『Devils never cry .(悪魔は泣かない)』
『Maybe somewhere out there even a devil may cry when he loses a loved one.(最愛の人を失って涙する悪魔もいるかもしれない)』
は何だったの?

民間人を何人も犠牲にして、最後は負け惜しみ吐いて、ちょっとダサすぎない?

周りのやつらも『バージルだから許す』みたいな空気なのが本当に気持ち悪い。自発的に事件を起こしといて、自分で責任とるとか言い出すマッチポンプクソ野郎だぞ。

しかも、子供の存在を認知してなかったのかよ!
認知してないのはともかく、Vもユリゼンも全く気づかない。何も感じない。ダンテは一発でバージルの子だと気づいてたのに。そして母親と瓜二つなハズのトリッシュに対しても、一切何もなし。

バージルが単なるクソ野郎にしか見えないので、過去作品のセルフオマージュというか、ファンサービス的なシーンがどれも滑っている。
お涙ちょうだいで終わらせるのは無理があるし、軽いノリで終わらせるには話が重すぎる。

そして、Vは結局なんだったの?
『悪魔と人間に別れたバージルの人間側』がVって事らしいけど、いくらなんでも人間味が無さすぎるしすぐ逃げるし、これ本当にバージル

ラストにも全く絡まないし、いなくても成立するのでは?

バージルの存在を終盤まで隠すためだけに作られて、キャラクター性も全く練られてないように感じる。
ただ自分勝手に動いて、強いヤツがいたら逃げる。隠れる。ぼそぼそと勝手なことを喋って、ストーリーを動かすのかと思いきやこいつも流されるだけ。
これといった見せ場なしの雑魚処理要員。バージルに戻ったので今後も出番なし。
最後の最後で急に『俺もダンテを倒したい』とか言い出して融合して終わり。

うーん。このキャラ、いる?

ユリゼンとVは言動も支離滅裂で、二人とも心の底ではバージルとしてダンテと戦いたいと思いながら『ユリゼンがダンテを生かしておく意味がない』
『お前(ダンテ)さえいなければ…』
など、理解に苦しむ台詞も多数。

こういう場合、深層心理が表面化するのがお決まりでは?
バージルになるまではダンテを生かそうとする、生きてる事を望むものなのでは?

そしてユリゼンの台詞『何も失ってないお前(ダンテ)になぜそんな力が』
これはダサい。ダサすぎる。
バージルの魅力に、不幸な境遇でありながらそれをものともしない、そのせいにしない強さというのがあったと思う。
それが急に不幸話を始めてもう台無し。深層心理では『自分は大切なモノを失った不幸な存在だ。』と思ってたって事ですか。
そうですか。

と、あげればキリがないほどにバージルのキャラクターがガタガタ。それに右往左往するDMCメンバーさえアホみたいに見えてくる始末。

恐らくこうなった理由としては、『ストーリー的にもゲーム的にもバージルをラスボスにする』という所から逆算して話を作ってるからだと思うんですよ。
つまりは、『バージルが最後に出てきたら盛り上がるだろ?ラスボスだったら喜ぶだろ?』という、ファンをナメた態度。


はっきり言ってこのお話じゃ全く喜べませんよ。


発売前は色々と妄想をしましたよ。


『ネロと閻魔刀はバージルが人間界とダンテを守るために残した忘れ形見。それを超える脅威が人間界に迫っているので、新たにVを送り出した。最後はVの案内で魔界へ行き、なんやかんやでバージルがラスボス。』

とか。

『Vは魔界でバージルを倒し、ダンテとネロを魔界におびき寄せて力を取り込むために人間界へ来た。魔界でバージルを復活させて共闘したのち、なんやかんやでバージルがラスボス。』

とか。


実際のDMC5
『ネロは出生の秘密とか特になく、バージルも存在を知りませんでした。民間人はたくさん殺したけど、親父だし兄弟だから温情判決で。ラスボスはバージル。』


これは、いくらなんでも、あんまりでは。


でもこれが公式で出てしまった以上、もう仕方がない。
この設定では今のキャラクターからドラマは生まれそうにない。もし次回作のストーリーがこれを補完して素晴らしいものに出来たらそれは凄いことなので、一応期待しておく事にする。


まとめとして、ここまで書いておいてなんだが、DMC5のゲーム部分は本当に面白い。今現在は3周目の難易度『DMD』に挑戦中で、かなりひーひー言いながらプレイしている。

購入を迷っている人がいたらこの記事の内容は忘れて、是非おすすめして欲しいタイトルだ。

(購入せずにこの記事を読んだ人はいないものとする)


2019.03.14 soviet4